また、7月がきます。
負担割合証のコピーのことを考えると嫌になります。
同感です。
負担割合証の確認は毎年大変ですものね。
もう少し、楽になるといいのですが、
負担割合証(介護保険)とは
負担割合証は利用者さんが介護サービスを利用したときに何割で利用できるかを知るものです。この負担割合証を居宅ケアマネが確認しないと提供票や利用票の割合が間違い返戻となります。関係したサービス事業所すべてに迷惑がかかりますね。
負担割合は被保険者個人の利用割合を判定するものでありますが、世帯構成の変化で割合が変わることがあるので毎年の確認が必要です。
第2号被保険者の負担割合
第2号被保険者は一律1割負担です。第1号被保険者と同時期に負担割合証は交付されます。
第2号被保険者とは40歳以上65歳未満の医療保険に加入している、特定疾病により介護が必要になった方です。
負担割合 基準日と基準
介護保険の負担割合はいつ決まるのでしょうか。
負担割合の基準日
負担割合の基準日は毎年8月1日です。
負担割合の割合を決める基準
前年の公的年金などの収入額+その他の合計所得により決まります。
1割負担 | 346万円未満 | ※280万円未満 |
2割負担 | 346万円以上463万円未満 | ※280万円以上340万円未満 |
3割負担 | 463万円以上 | ※340万円以上 |
※同一世帯の第一号被保険者が本人のみである場合
年金以外のその他とは不動産売却などの収入のことです。
負担割合証 更新 期間 いつ届く
負担割合証の更新は8月1日、有効期間は8月1日から翌年7月31日になります。負担割合証が届く時期は保険者によって様々ですが、有効期間の開始8月1日までに利用者さんの手元に届くようになっています。居宅ケアマネの皆様は6月くらいから翌月の負担割合証の回収準備に入っているでしょう。負担割合証を失くしそうな方のご家族に連絡し、送付先変更の届を出しているでしょうか。
ケアマネ 負担割合証の確認
さて、本題に入ります。保険者によりますが、7月中に負担割合証が利用者宅に届きます。居宅ケアマネはモニタリングの際に負担割合証をお借りしたり、タブレットやスマホで撮影して回ります。お借りした負担割合証のコピーを取り返却、タブレットなどで撮影したものを紙に印刷していると思います。
負担割合証の説明から
この時期は介護保険負担割合証、介護保険負担限度額認定証、後期高齢者医療保険証、後期高齢者医療限度額適用・標準負担額減額認定証などが次々に送付されます。ケアマネが負担割合証といっても様々な「証」をご本人・ご家族から差し出されます。「介護保険は収入によって1割~3割の負担があります。」と説明しても医療保険証を持って来られる方も多いですね。
負担割合証の捜索はあきらめも必要
7~8月はそろそろ気温も上がりエアコンなしのお宅での負担割合証の捜索は困難を極めます。30分もするとケアマネも利用者さんも汗だくで、ケアマネは利用者さんが熱中症で倒れないかと心配になります。見つかりそうもないときは、30分で切り上げるようにしています。
また、家族受け取りと安心していたところ本人宅へ負担割合証が送られている認知症の利用者さんの場合も大変です。ご本人は自信ありげにバックを持ってきて、「いつもここに入れています。」とバックを見てもなく、「他のバックに入れた。」と次から次へと家じゅうの袋物が登場します。「あきらめましょう。」とケアマネが言ってもなかなかあきらめられません。皆様も経験済みでしょうね。
負担割合証のコピーには手間がかかります
事業所に戻ってからは、居宅ケアマネになってから当たり前のようにしていた負担割合証のコピーです。各事業所分にコピーして渡したり、FAX送信など紙を多く使います。7月は負担割合証の回収に追われ、他の仕事にも影響が出ます。とにかく、紙を使います。コピー、コピーと会社からも世間からも「紙を減らしましょう。」と言われてますが、無理ですね。とにかく追われるようにサービス事業所にコピーを渡し続けます。
負担割合証の確認、紛失
負担割合証の確認ですが実際は大変です。負担割合証の発送が始まってからすぐにすべての利用者さんのお宅へ訪問できればいいのですが、毎日の業務をこなしながらの訪問です。訪問したときには負担割合証がなくなっているときもあります。見つけたとしても発見までに30分以上かかることもざらです。負担割合証の前のものをとっておき、新しい方を廃棄していることもよくあります。紛失理由は以下です。
- 認知症のため、どこにしまったのか忘れてしまった。探しても見つからない。
- 大事なものと思わずにゴミに出してしまった。ゴミとして燃やしてしまった。
- 絶対に負担割合証は送られてないと言われる。(しっかりされているので、一緒に探すこともできない。)
負担割合証の再発行
負担割合証を紛失した場合、再発行ができます。本人が申請する場合は自分の身元の確認できるものが必要ですが、たいていは居宅ケアマネが再発行の申請をしていると思われます。本人以外の申請の場合、申請者の運転免許証など身元の確認ができるもの、委任状などが必要です。各保険者によって方法が違うので確認してください。
いちばん落ち込むのが、再発行手続きに行った時です。役所の職員からちゃんと探したか疑われることです。「こちら(役所)は郵便で発送したという証拠があります。」と「再発行は手間なんです。」とケアマネの手間は全く考えていないのです。ただ、悔しいです。利用者宅に郵送され、負担割合証を全て確認・コピーして返す作業。時間とお金がかかっています。
負担割合証の将来 コピーをやめる
負担割合証の受け取りですが、なんとケアマネが保険者から直接受け取ることができる地域があります。一ヶ所でもケアマネ受け取りができる役所があるということは他の市町村でもできるのではと考えました。将来的に居宅ケアマネが受け取るようになり、事業所には負担割合をリストにして渡すことができればいいと思っています。皆さんの保険者にケアマネ受け取りができるように働きかけてはどうでしょうか。ちょっと熱くなってしまいましたが、無駄なことをやらされているというストレスは大きいです。
個人情報の取扱は大切だが、保険者の矛盾
私の勤務地の保険者は「負担割合証は本人・家族から見せてもらってください。」というけれど、ちょっと待って介護保険証のケアマネ受け取りは可能です。負担限度額確認証の受け取りもできています。なぜ負担割合証はダメなのでしょうか。最近では介護保険の被保険者番号も教えてもらえません。仕方ないので介護ソフトには仮の番号をつけて登録します。ケアマネの仕事はこんなことの連続ですね。
生活保護の負担割合
- 生活保護の被保護者は1割負担(保護廃止の場合は翌月から所得に応じた負担になる。)自己負担額は『介護扶助』で賄われます。ようするに実質的には自己負担なしで介護サービスを利用できます。(みなし2号も同様)
- 第2号被保険者は1割負担(みなし2号も同様)
- 要介護旧措置入所者は1割負担
- サービスを利用した年度(4月~7月は、前年度)分の市町村民税が非課税の場合、1割負担
参考資料:R4.3.31「介護保険制度における利用者負担等の事務処理の取扱いについて」等の一部改正について
みなし2号とは
みなし2号とは公的医療保険に入っていない、40~64歳の生活保護の人です。さらに介護保険で定められた『特定16疾病』に該当して介護が必要になった人のことです。介護保険証は原則発行されませんが、「H」から始まる被保険者番号が決定します。
負担割合が途中で変わる
負担割合は8/1から翌年の7/31まで変わらないと信じていました。しかし上記のR3/3/31の事務取扱を読むと負担割合が変わるケースがあるんですね。そもそも負担割合は利用者さん(第一号被保険者)一人に対して決定されます。ただし「公的年金等の収入金額+その他の合計所得金額」で決まるのため、同一世帯のすべての第一号被保険者に係る額が影響します。第一号被保険者の世帯構成に変更があると場合によっては負担割合が変わるのです。住民税の所得更正や世帯員の増減、65歳到達等により途中で介護保険負担割合が変更される場合があります。ケアマネは要注意ですね。
負担割合の変更例 | 8月 | 9月前半 | 9月後半転居 | 10月 |
世帯X | A 公的年金100万円 B 公的年金350万円 | A 公的年金100万円 B 公的年金350万円 | A 公的年金100万円 | A 公的年金100万円 |
世帯Y | B 公的年金350万円 | B 公的年金350万円 | ||
負担割合Aさん | 1割 | 1割 | 1割 | 1割 |
負担割合Bさん | 2割 | 2割 | 2割 | 3割 |
まとめ
・居宅ケアマネは負担割合証の確認、コピーに疲れます。なぜ、確認が必要かですが、負担割合を間違えると返戻になります。他のサービス事業所に迷惑がかかります。
・2号被保険者の負担割合は1割負担です。
・負担割合の基準日は8月1日です。1割~3割負担の収入の表を入れました。不動産の売却などすると負担割合に反映します。
・負担割合証は毎年更新され8月1日までに届き、8月1日~翌年7月31日までの有効期間です。
・居宅ケアマネの負担割合の確認やコピーの作業は効率の悪いものとなっています。負担割合証の捜索や紛失に時間を取られてます。サービス事業所にも当たり前のように負担割合証のコピーを渡しています。
・負担割合証を紛失すると再発行もできますが、本人申請でない場合は、委任状が必要です。各保険者によって違うので問い合わせましょう。
・豆知識として負担割合が1割になる場合、負担割合が変更になる場合をあげています。