介護職で働いていると年金生活の利用者さんの暮らしぶりがよくわかります。若いときは考えなくてもある程度年数を重ねると自分の将来を考えるようになります。平成12年4月から介護保険が始まり20年以上過ぎ、中途で入社した方の中には定年退職した方もいらっしゃるでしょう。この記事は介護職の退職金について書いています。
ウチの介護事業所に退職金 ある・なし?
自分が働いている介護事業所に退職金があるのか・ないのかはハローワークの求人票で確認できます。もしくは入社したときの就業条件の書いてある「労働条件通知書」を確認しましょう。求職中は給与の金額や就業時間は確認しても退職金までは気が回りませんからね。
介護事業所の就業規則
ところで事業所に就業規則はありますか?労働基準法第89条、90条により常時10人以上の労働者を使用している事業場では就業規則を作成する必要があります。また、労働基準法第106条は就業規則は見やすい場所へ掲示、備え付け、書面の交付により労働者に周知しなければならないとされています。内容の変更があると差し替えが必要なので「備え付け」が多いです。就業規則に退職金がある場合は記載されています。
介護事業所の退職金はないところが多い
介護事業所での退職金ですがハローワークの求人票によると退職金制度のない事業所が多いことが分かりました。退職金どころか賞与のない事業所もおおくみられました。「平成30年就労条件総合調査 結果の概況 退職給付(一時金・年金)制度」によると「医療・福祉」で87.3%に退職給付制度がある結果でした。介護は「医療・福祉」の一部であることからもっと低いと考えられます。
参考:平成30年就労条件総合調査 結果の概況 退職給付(一時金・年金)制度
介護事業所も退職金の準備は大変
今度は会社側から退職金について考えましょう。長年働いた方が同じ時期に何人も退職するとします。資金に余裕がある企業ならいいのですが小規模の介護事業所では退職金の余裕がないのが現実で退職金は出せないといったところです。では退職金制度のある事業所はどう準備しているのでしょう。
介護事業所の退職金の準備
- 社内で独自に準備(生命保険や確定拠出年金など)
- 中小企業退職金共済制度
- 特定退職金共済制度
退職金給付制度には3つの形態があります
- 退職一時金
- 退職年金
- 退職一時金と退職年金の併用
民間企業と社会福祉法人
介護事業所が社会福祉法人の場合、「社会福祉施設職員等退職手当共済法」に加入することができます。加入は経営者の判断ですが、加入している施設職員が退職するときに退職手当金が支給されます。
介護職の退職金制度の実際
退職金制度があった事業所に勤めているみなさん。自分の場合いくらの退職金をもらえるのか気になりますね。就業規則に計算式がでています。自分の退職金額を計算してみましょう。
退職金 計算式
退職金は「これだけ払いなさい」という義務はないので介護事業所独自の計算式になります。基本的には計算式でだす事業所が多いですが他にも「○年勤務しているのでこの金額」という事業所もあります。
退職時の基本給(元になる金額)×支給率(勤続年数)×退職事由係数=退職金
介護の退職金 自己都合の場合
退職金の計算式にある「退職事由係数」とは定年退職か自己都合退職かで決まります。定年退職が1.0とすると自己都合退職は0.8とか低い掛け率となり退職金も少なくなります。
介護事業所が倒産した場合
事業所が倒産した場合はどうでしょう。職員への退職金を払うことが優先されますがもともと金銭的に余裕がなく倒産しているのです。退職金の支払いは難しいです。
介護事業所の退職金はいつもらえる?
介護事業所によって退職金の支払い日は決まります。退職後1~2ヶ月で支払われるのが普通です。事業所の退職金の準備方法によっても変わります。数種類の退職金の準備が行われた場合、数回に分けての支払いの可能性もあります。退職時に退職金の支払い日を確認しておきましょう。
まとめ
- 今働いている介護事業所に退職金制度があるかは求人票や就業規則を確認してみましょう。実際にハローワークの求人票で調べると退職金のない事業所や施設が多いです。
- なぜ退職金制度がないかは人件費や設備費で金銭的に余裕がないためです。退職金制度がある場合も退職金の準備は大変です。退職金の支払い方も一時金と年金または併用と3種類ありました。社会福祉法人は社会福祉施設職員等退職手当共済法を利用することもできます。
- 退職金の金額は計算式ででます。年数や退職理由で掛け率が変わります。事業所が倒産すると退職金の支払いは難しいです。
- 退職金の支払い日は退職時に確認しましょう。