すでに居宅ケアマネの人手不足 将来のケアマネは

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ケアマネ不足 ケアマネ辞めにくい
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いつからでしょうか、若手がケアマネを目指さなくなったのは。気がつくと年配のケアマネが退職し、事業所が閉鎖され、閉鎖していない事業所も平均年齢の高い職場になっています。私自身、主任ケアマネとして仕事をしているのですが、私が退職した後に後任のケアマネが来るのか不安に思う日々です。今後のケアマネ不足解消の道筋を現役のケアマネとして考察します。

以前は居宅ケアマネが魅力的に思えた

介護職は初任者研修(昔はヘルパー2級)から介護福祉士、介護支援専門員(ケアマネ)・主任介護支援専門員と資格を取っていけば次のステージに上がれます。がんばれば将来が変えられ魅力的に見えました。

居宅ケアマネ不足の要因は

以前は介護支援専門員の試験に合格すると尊敬の目で同僚職員にみられていました。「ケアマネになれるんだ。」と胸をワクワクさせたものです。ところが現在は「すごいね。」とはいわれるものの「ケアマネになるの?」と心配されます。

ケアマネの年齢構成

介護支援専門員数18~19歳20~24歳25~29歳30~34歳35~39歳40~
44歳
45~
49歳
50~
54歳
55~
59歳
60歳
以上
3,931人0.0%0.1% 0.3%2.8%8.2%18.1% 18.6%15.3% 15.8%20.6%
令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果

上記表は令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果より「第137表 介護従事者の年齢,職種別(処遇改善加算(Ⅰ)~(Ⅴ)を取得している事業所)」から介護支援専門員だけを抜いたものです。40代から急にパーセントが上がっています。60歳以上が20.6%ですね。この方たちが介護支援専門を辞めてしまうとケアマネ不足が深刻になります。

介護支援専門員を持っている人は多い

2022年度の介護支援専門員実務研修受講試験の受験者数は全国で5万4406人、1万328人が合格し合格率は19.0%でした。2018年度に受験資格が変更したことで受験者数は伸び悩んでいます。都道府県別の合格者で見ると合格者の少ない県は山梨県の52人、最高の合格者数は東京都の937人です。毎年ケアマネ資格を得る人がいることがわかります。参考:第25回介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況について

居宅ケアマネになりにくい

ケアマネ試験に合格して研修を受け登録を行ってもすぐにケアマネ業務に就けるわけではありません。そこが介護福祉士と違うところです。ケアマネになるためには現在の仕事を辞めて転職するか、系列の事業所にケアマネの欠員が出て異動するなどの転機が必要です。ケアマネになろうと決心することも勇気が必要だと感じます。ケアマネになりにくいのも不足の原因で

主任ケアマネは募集しても来ません

主任ケアマネはもっと深刻です。管理者要件が絡んできます。ケアマネのなり手がないのに主任ケアマネが増える可能性はないです。

5年経ったら主任ケアマネの研修

複数人の事業所であれば主任ケアマネ研修の要件をクリアした時点で研修を受けてもらいます。誰かが退職しても他の主任ケアマネが管理者になれるようにしておきたいです。管理者の資質とか言ってられない時代が来ています。

一人ケアマネは深刻

主任ケアマネが一人の事業所は募集をかけて誰も来ない場合、事業所の閉鎖をします。なにせサービスは利用中ですから、利用者さんは他の居宅介護支援事業所に移さなければなりません。

居宅難民の日は近い

居宅介護支援事業所が閉鎖するとき、近隣の居宅が連携して「ウチは10件」「他は5件」と協力して受けています。新規相談や包括からの予防支援と件数の余裕は年々なくなってきています。新規の居宅はなく廃業が多いからです。廃業したくても引き受け手の居宅が見つからないとどうなるでしょう。

居宅ケアマネは難しい仕事

ケアマネになると決めてからも大変さがあります。ケアマネの仕事はやってみないと全体像がわからないです。私も実際にケアマネになってみたものの今日何をするのかがわからないという情けない出発でした。

ケアマネ業務の難しさ

担当する利用者さんの一人一人の生活状況がなかなか覚えられません。保険者独特のルールがあったり、生活保護や障害制度の知識があるものと思われたり、「新人ですから」というのが許されない環境です。介護保険制度の定期的な改正についていく必要もあります。ゆっくりと新人を育てる環境がないこともお分かりですね。ケアマネ以外の方は「なんか大変そうでやらない方がいい。」となってしまいます。

居宅ケアマネは業務が膨大

担当件数を増やさなければ事業所の収入は増えません。増やしたところで亡くなる方、入院する方もでてきます。また手間のかかる新規のアセスメントから契約書・書類を整えるのです。そうこうしている間もモニタリングや更新申請も行います。

ケアマネの更新研修の負担も大きい

定期的な更新研修、自分がどの研修を受けるのかは人によって違います。研修の分かりにくさも負担となります。

ケアマネの待遇面の難しさ

処遇改善加算からはじかれ、夜勤のないケアマネです。介護福祉士として働いている方がケアマネになると大分収入が落ちます。勉強して頑張ったのに収入が下がるのは納得できないところです。「ケアマネの資格はあるけど、このまま介護士を続けます。」となります。

ケアマネはいらないのか?

仕事は大変だし収入も減り、研修が頻回にあります。何のためにケアマネになったのか?世間的にも認められていない気すらします。

ケアマネがいなくなった場合

令和3年3月の介護支援専門員の有効求人倍率は3.74%です。求人は多いとわかりましたが、ケアマネになりたい人が少ないということもわかりました。このままでは担当ケアマネが見つからないという事態になります。地域によってはすでにはじまっているのではないのでしょうか。
参考:中央福祉人材センター 福祉人材センター・バンク 職業紹介実績報告

ケアマネの必要性

ケアマネはいないとどうなるでしょう。介護サービスが必要と本人・家族が考えても自分たちにどんなサービスが必要か、費用が払えるのかなど分からないことが出てきます。自分で調べたくても介護保険は複雑で何を使えばいいのか選びにくいですね。

ますますケアマネ不足が拡大

これからも徐々にケアマネは減っていきます。高齢のケアマネが定年後雇用延長で頑張ってもしばらくの間しかもちません。ぜひ、国にはケアマネの待遇を考えてもらいたいです。

ケアマネ不足の解決法

ケアマネ不足の解決法は収入面の改善を行い、介護職員よりも高い給与にすることが必要です。頻回で高額な研修制度を見直し、ケアマネの業務範囲をしっかり決めてサービス業務はなるべく行わないようにしてほしいです。ケアマネ難民をつくらないための残された時間短いのです。

まとめ

  • ケアマネ不足の要因には現ケアマネの高齢化とケアマネ資格所持者がケアマネになることを望まない人が多いことです。また、ケアマネは資格を取得しても転職するか系列の事業所に欠員がでないとなれないことがすぐにケアマネとして働くことができない原因です。
  • ケアマネ業務は難しい仕事です。介護保険は当然のことですが、生活保護法・障害者制度のことまで知識が必要になります。仕事を覚えたとしても介護保険の改正で常に新しい情報を吸収し続けることも大変な一因です。待遇面でも介護職からケアマネになると処遇改善加算がつかない、夜勤手当もないので収入が下がります。
  • ケアマネはいらないのでしょうか。ケアマネの有効求人倍率は高いです。必要とされているのです。ケアマネがいなければ複雑な介護サービスから何を選択すればいいのか利用者さん達が迷ってしまいます。
  • 現ケアマネたちが定年延長や定年後再雇用してもケアマネの不足解消にはなりません。ケアマネになりたいと思ってもらえるためには収入・研修・仕事内容を改善する必要があります。
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