困難事例! ケアマネの経験談から何が困難なのかを考える

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困難事例 ケアマネの経験談から何が困難なのかを考える

主任ケアマネになって振り返ると、新規ケースを受けることが耐えられない時期がありました。先輩たちがサクサク困難事例を解決していくのに、どうやっているのかが全く見えないのです。私(新人ケアマネ)と先輩ケアマネの違いは何なのかが分かるようになります。まずは私が間違った対応をして困難と感じた事例をみて参考にしてください。私の苦い経験はその後の計画に大きな影響を与えました。

困難事例 

本人と家族の意向が違う場合

ある年末に総合病院から退院支援の依頼がありました。Aさんは北国の独居で家族は県外在住です。Aさん、家族のBさんと病院で初回面談となりました。本人の状態は80代の男性、肺炎で入院、歩行状態は伝わり歩き、物忘れは年齢相当です。現在申請中で介護度は要介護1程度

本人の意向:自宅で暮らしたいし、暮らせる。早く退院したい。

家族の意向:1人暮らしは心配。お湯が出ない。水道も一部しか使えない。家が遠いので何かあってもすぐには来られない。お金の援助はできない。年金は困らない程度はある。

主治医:肺炎は治ったが、他にも疾患がある。自宅に帰るのは無理なので施設を探してください。施設に行くことはケアマネから説得してほしい。治療はないのでなるべく早く退院するように。

ケアマネ:退院許可が出ているので大急ぎで契約を本人・家族と済ませ、今後のことを決めなくては。本人・家族によると自宅は田んぼの中の一軒家で暖房は反射式ストーブだけ。冬だけでも施設で過ごしてほしい。

ケアマネと家族で本人を説得し、Aさんは渋々ショートステイに入所しました。入所後に要介護1の認定が出たので家族と話し合い単位が限度額内に収まるように介護付き高齢者ハウスを見つけました。家族に本人の説得を任せてショートステイを退所して高齢者ハウスへ入居することになったのです。施設での生活で失禁が多いことと歩行が不安定で数回転倒している様子が見えてきました。ここで自宅での生活は無理であると判断しました。数ヶ月高齢者ハウスで過ごしているうちのモニタリングで本人から「自宅に帰りたい、閉じ込めるつもりか」と言われる度、自宅の設備が不十分だからと話しています。家族からは本人の年金で施設の料金を支払っているので、金額を知られると怒るから話さないでほしいと言われてました。ある日、高齢者ハウスから連絡がきて、本人が高齢者ハウスの料金を知って激怒しているから来てほしいと言われ驚いて高齢者ハウスに向かったのです。ケアマネとBにだまされたと騒いで手が付けられない状態でした。どうしてもすぐ帰りたいとAさんが騒ぐため、Bさんに連絡してタクシーで自宅に帰ってもらいました。自宅は入院前の状態で全く掃除されてません。ケアマネは追い返され、翌日Bさんの到着を待って再度訪問、今後のことを話し合うことになったのです。翌日、AさんはBさんに自分の通帳を返すように迫り、Bさんが預金残高を見て激怒、ほとんど残金がない状態でした。Bさんによると病院の支払いと施設の料金でどんどん残高がなくなり、Bさんも金銭的な援助はできなくてこれからどうしようかと思っていたそうです。今日からどうしたらいいのでしょうか。ケアマネとして何か間違っているのでしょうか。

困難事例でストレスに押しつぶされそうになる

そして、困難事例が始まりました。Aさんはケアマネと家族のBさんを罵倒し続けて「金を返せ」と叫んでいます。ケアマネとして何をすればいいか冷静に考えられない状態です。このまま何もかも捨てて逃げてしまおうとさえ思いました。落ち込む私の頭の中でこのケースを誰が引き受けてくれるのか考えたとき、少しだけAさんに落ち着いてもらってからでないと恥ずかしくて引き継ぎもできないと感じて踏みとどまりました。

とりあえず家族に対応してもらう

このままでは暮らしていけないことをAさんも分かっていて、家族に生活するうえで必要なものを購入してもらうことになりました。そして通帳に残っているお金と通帳をAさんに渡しました。少しの現金を手にすることでAさんの気持ちは落ち着いたようです。

困難事例の対応 新人ケアマネはこうした

無計画に帰宅したため、年金がおりるのは1ヶ月以上先です。入浴もできないし、買い物にも行けないし、通院やゴミ出しも1人ではできません。訪問介護事業所とデイサービスとで担当者会議を行い生活が困らないようにしました。先輩ケアマネのアドバイスで当面の生活費は社会福祉協議会の『助け合い資金』を借りることができたのです。自宅内での転倒や事故の可能性も大きかったのですが、Aさん・Bさん双方とも納得しています。念のため、民生委員にも連絡しています。施設での生活と比べると自宅ではだいぶ不便な様子ですが、何とか1人暮らしを継続しています。

困難事例にならないためのマニュアル

契約時にケアマネの仕事をはっきり伝えよう

どこから間違えたのか。なんと最初からです。契約の段階から気を付けなければいけなかったのです。契約書・重要事項説明書は利用者さんとの契約になります。ここで、ケアマネの役目をAさん・Bさんに理解してもらうことが必要でした。つまり、ケアマネはAさんと契約し、ケアマネの立てた計画で介護に必要な事業所を使うことができるのです。

利用者さんとの契約です

Aさんの意向は聞いていたものの聞いていたものの、家の状態や体調のこともあり施設ありきでプランを立ててしまったことも間違いでした。まずは自宅での生活を検討して準備が整うまで施設という流れにすれば良かったと思います。

本人の意向を尊重する

主治医の「必ず施設入所」「「本人への説得はケアマネがするのが当たり前」も問題ですが、Aさんがちゃんと納得しないまま施設入所しています。その後も失禁や転倒の心配からずっと入所していれば安全と疑問も持たずに考えていました。

介護サービスの利用料金をこれ位かかると分かってもらう

さらに悪いことにはAさんが大変お金に細かい方だったのにBさんから「親を心配させたくないので入居費のことは知らせないでほしい」と言われAさんに聞かれても黙っていました。

介護サービスの料金・支払いについては事業所が説明する

Bさんが経済的に余裕がないことは聞いていましたが、入所の費用が年金額を上回っていることは確認せず、預金を使い果たした先にBさんはどうするつもりだったのか分かりません。ところで、ケアマネは施設料金の回収まで責任があるのでしょうか。答えは「ない」ですね。そのために利用者と介護サービス事業所との契約があります。

困難事例の現在

Aさんは自宅内で転倒したり、自宅内の環境が悪いことは変わりませんが、大きな事故なく生活できています。お金がないからと訪問介護は利用がなくなり、デイサービスでの入浴だけの利用となっています。

最初の対応が正しければ困難事例にはならなかった

新人ケアマネの対応が正しければ困難事例にはならず、壊れかかった家でなんとか暮らしている利用者のAさんとケアマネの関係でいたと思います。ケアマネが困難事例を作ってしまったケースですね。所々で先輩ケアマネからの助け舟があることで逃げ出さないでケアマネを続けています。誰も助ける人がいない場合、新人ケアマネは追い詰められてケアマネを辞めてしまうでしょう。助言をしてもらえない厳しい状況にいる新人ケアマネは環境を変えないとつぶれてしまいます。

ケアマネの環境を変えたい人は下の記事を読んでみてください。

現役居宅ケアマネ😭退職できない、辞めにくい理由3選
居宅ケアマネが辞められない辞めにくいと頑張り続けるといつかはポキッと心が折れてしまいます。ひどい場合は仕事に行けないなどのダメージを背負うことになります。

まとめ

新人ケアマネ時代に遭遇したこのケースはとことん私のメンタルを追い詰めました。そんなケースを通して困難事例にならないように気を付けるポイントを解説しています。新人ケアマネは新しいケースにあたる度に失敗しながら成長していくものですが、一度の失敗でケアマネを辞めてしまう人もいます。みんな失敗していることを知ってもらいたいです。
困難事例にならないためのマニュアル
・契約時にケアマネの仕事をはっきり伝えよう:退院支援では退院許可が出るとすぐに退院を迫られます。そこで契約もそこそこになりますが、この契約時にケアマネの仕事・できる範囲をしっかり伝えることが必要です。
・利用者さんとの契約です:利用者さんが話をできないときなど家族に契約をしてもらうことに慣れていましたが、契約相手は利用者さんです。忘れてはいけませんね。
・本人の意向を尊重する:本人が利用するサービスです。利用者さんの意向を尊重しないと今回のようにもめます
・介護サービスの利用料金をこれ位かかると分かってもらう:大体の金額を利用者さんと家族に理解してもらいましょう。
・介護サービスの料金・支払いについては事業所が説明する:介護サービスの料金の回収はサービス事業所が行うものです。ケアマネはここまでしません。サービスをつなぐ仕事ですよ。
最初の対応が正しければ困難事例にはなりません。それも今となってやっと分かったことです。

 

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