毎日通う会社がとても楽しい場所ならば、どんなにステキなことでしょう。でも現実はキビシイものです。私は総務とケアマネジャーの仕事をしてさまざまな退職を見てきました。ひとついえることは心が壊れる前にあわない会社から離れることです。無理をしてがんばれば何とかなると思ってはいけません。いつのまにか自分をコントロールできない状態になるからです。
無計画な退職をする背景（追いつめられて）
人によって無計画な退職をする背景は違います。良くない仕事環境、人間関係の問題、そして自分の体調が悪いなど背景はさまざまです。
無計画な退職になってしまう
無計画な退職は、なんの問題もない会社でも起こりえます。真面目で責任感のある人が多いのです。例を見ていきましょう。
会社に居場所がない
新しい環境になじむのはむずかしいです。人間関係や仕事内容もわからない状態で適切な指導や教育がないとスタートがきれません。仕事が分からなければ会社に居場所がありません。どんなに心細いか経験した人にしか理解できないでしょう。
会社で役職がついたときがきっかけに
役職がついて給与も上がり会社に認められたと実感したのもつかの間、人の上に立つのって誰にもできることではないと思い知らされます。自由な部下たちの「これはおかしい」という訴えと「そうはいっても無理なのはわかってるよね」という上の指示に悩まされます。自分ががんばるのはいいけど人にやってもらうのは負担です。あっちこっちに気を使っているうちに何もかも嫌になります。
ケアマネ業務はストレスがたくさん
ケアマネは調整役としてサービスをつなげる仕事ですが、利用者さん家族にはどんなにサービス事業所を取り換えてもクレームの多い人がいます。訴えの多い方に共通するのは全くもって正しいことを話されることです。でも、普通の方が「これくらいは仕方ない」ことが許されず、徹底的に自分が正しいと闘う方の相手は消耗します。「もう勘弁して」と追い詰められるケアマネがたくさんいます。
無理は時間が経つと地味に効いてくる
「嫌だな」と思いながら何とか乗り越えた一日も、何日・何ヶ月もとなれば心の疲労に効いてきます。表面上はふつうに仕事ができているようにまわりには見えます。ところが、まじめなほど無理をしてきた心の疲労がたまってきているのです。
ある日、心はポキっと折れる
その時は突然きます。朝目覚めても起き上がれないとか吐き気がして出社できないなどです。こうなると一日も出社できません。決まっていたスケジュールは止まり、引き継ぎもまともにできません。会社や同僚に申し訳なく突然退職することになります。同僚はとても驚きます。
在職中に転職活動した方がいいのはわかっている
ほんとうは追いつめられる前に転職すればいいのですが責任感がじゃまをして転職活動はできません。とことん弱ってから退職する人が多いです。とにかく休みをとることが必要です。
退職前に自分の心に向きあおう
「最近笑ってないな」「体調がおかしい」など変化を感じたとき会社や事業所に相談窓口があれば相談しましょう。通院をすすめられるかもしれませんが素直に従うべきです。
ここで無理をする代償は大きい
休養や通院をせずに会社を逃げるように辞めて転職先が見つかったとします。新しい会社で楽しく働けるかというとむずかしいです。ケアマネの場合、嫌な事業所を引き継ぎなしで辞めたとしても新しい職場で引き継ぎを何十件も数日で行います。傷ついた心でたくさんの人に会う引き継ぎは厳しいものです。引き継ぎ途中で辞めていったケアマネがいました。
2022年メンタルヘルス不調により連続1カ月以上休業したひと
| 事業所 | 連続1ヶ月以上休業 した労働者がいた | 退職した 労働者がいた |
| 100％ | 10.6％ | 5.9％ |
1ヶ月以上休業している労働者が10.6％もいることに驚きました。業種によって大きな差があり、情報通信業では32.0％、宿泊業・飲食業は2.4％です。メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合は63.4％となっています。
元気になってから働きましょう
在職でも転職でも心身が元気でないと仕事はできません。私は一般の会社と介護事業所の人の出入りを見てきたから言えることです。
退職届をたたきつけて無計画に辞める
会社に絶望したとき「ここでパーンと退職届をたたきつけたい」衝動にかられます。実際にたたきつけた人はほとんどいないのではないでしょうか。
退職届をたたきつけるのはむずかしい
退職届をたたきつけるには退職届を用意しなければなりません。たたきつける退職届を用意しましょう。大嫌いな会社に出すのです。しっかり恨みを込めて書きましょう。便箋や封筒を準備して書く内容を調べているうちにたたきつける気持ちが小さくなります。
退職届を用意する
さて、退職届の書き方はわかりますか？仕事によって退職届ではなく辞表の場合があります。退職届の書き方はこちらに詳しく書いています。
退職届と辞表の違い
退職届と辞表の違いは一般の会社員の場合が退職届であるのに対して辞表は公務員や会社役員が用意するものです。ここを間違えると恥ずかしいので気をつけましょう。
退職届をたたきつけなくても「たたきつけた」という
だれも退職するとは予想してないときに退職届を出す場合、「たたきつけた」感はあります。だれも知らなくていきなり「今月末で辞めます」は残った社員に衝撃です。のちに退職届をだしたことを語るときには「退職届をたたきつけてやった」を使いましょう。
実際の常識的な退職
一応ふつうの退職の方法も書いておきます。
退職のきっかけ
なるべく直属の上司と自分の二人だけの時がチャンスです。上司に「お話がありますが、今いいですか」と話しかけます。ここで上司もピンとくるので別室に入ります。そして「退職を考えています」と伝えるのです。
無計画な退職した後に必ずくるもの
無計画な退職したのちに転職を実行しました。これからの展開を見ましょう。会社を辞めたと安心してはいけません。
退職した満足感にひたる
退職しました。嫌な職場に行くこともなく快適な毎日が待っています。最初は幸せ気分でやりたいことができ、行きたいところにいけます。昼まで寝ていても問題ありません。
最後の給料が振り込まれる
会社の締め日にもよるので金額はまちまちですが、最後の給料が支払われます。賞与は会社ごとに扱いが違います。働いた期間分を計算して支払う会社ならいいですね。「これが最後の給料か」などと思います。
そろそろ失業保険かな
毎月入っていた給料がないので預金をおろすことになります。「そうだ、失業保険をもらおう」と失業保険をもらうためにハローワークに行きます。自分から辞めたので自己都合退職です。ハローワークで手続きを行ってから3ヶ月くらいかかります。「3ヶ月！」です。「退職してすぐに手続きすればよかった」と反省します。
ハローワークで失業保険をもらう
失業保険は基本手当といわれます。働く意思のある人に支給されるので求職活動の実績を求められます。基本手当の手続きをして、いい会社があれば勤めようと求職活動をします。
ハローワークで職探し
私も何回かお世話になっていますが、毎回けっこう傷つきます。自分ではこんな経歴があり、こんな仕事がしたいと思っていても関係なく年齢でバサッと切られて思ってもみなかった仕事を勧められます。当時は資格がなかったので仕方なかったのかと思いましたが、失礼な言い方をされました。ハローワークでの職探しはこちらに書いています。
社会保険料の納付がくる
会社員時代は給与天引きになっていた住民税と健康保険、国民年金の納付書が送られてきます。私は社会保険の担当を行っていたので分かっていましたが、普通の人はわからないでしょう。収入がなくても前年の収入での徴収になるので金額が大きいのです。
国民年金は一律
厚生年金から抜けて就職していないと国民年金になります。令和5年度（令和5年4月～令和6年3月まで）は月額16,520円です。再就職すると厚生年金に戻ります。
健康保険
健康保険も必要です。今まで勤めていた会社の保険を使う「任意健康保険」と市町村に収める「国民健康保険」のどちらかを選びます。
住民税
退職後の住民税の金額は、前年の1月1日～12月31日までの所得によって決まります。そして、翌年1月1日の時点で住所がある自治体に、その年の6月から納付書が送られてきます。
家賃・光熱費ほか
家賃を払っている人は収入がないと大きな負担になります。毎月支払っていた家賃や光熱費、携帯電話料金などが銀行から引き落とされます。家賃の負担が大きい人には会社を退職した後に受けられる家賃補助制度があります。「住居確保支援金」といいます。これは、離職、休業、廃業などで収入が減った方へ家賃が補助される制度です。
お金の相談はしにくい
家計を支える家族が他にもいればいいのですが、1人の場合は無計画に退職するとすぐにお金の問題がでてきます。まして学校に通っている子供がいれば学費の支払いもあります。そしてお金に困っていると相談するのはむずかしいものです。お金のことって家族でも気まずいですね。
焦って再就職することに
収入は必要です。求職活動をして妥協したくないけど妥協して就職します。妥協の仕事はどこか頑張れないものです。しばらくは我慢して働くでしょうが、結局また転職を繰り返します。
無計画な退職でお金の心配したくない場合は
お金の心配がなくなるためには失業保険や社会保険を上手く使いましょう。
社会保険給付金を利用
人によって失業保険・社会保険の給付金受給は変わります。退職して再就職するまでの期間や働く意思によって状況が影響します。すぐに就職する人には必要ないですが、ゆっくり休養して再就職を目指すのであれば必要です。
退職時のお金の相談は退職コンシェルジュに
身内や友達には退職後のお金の相談などは話しにくいですね。プロにまかせるのが一番です。失業保険も社会保険の利用も申請書類を完璧にそろえるのがむずかしいからです。少しでも間違えるとスムーズにいきません。経験豊富な社会保険給付金サポートの退職コンシェルジュに相談してみましょう。
まとめ
- だれしも無計画に退職したいと思う人はいません。会社や事業所に追い詰められて仕方なく急な退職をするのです。辞めるころには心はズタズタになっています。冷静に考えられない状態での転職活動はさらなる失敗を生みだします。
- たたきつけたい退職届は誰にたたきつけたいのですか？一緒に働いていた同僚でしょうか。上司でしょうか。仲の良かった人まで無計画な退職で傷つけないでください。
- 退職後はお金の心配が待っています。日にちが過ぎれば必ず納付書が送付されます。前年の収入で請求されるので金額は大きいです。
- もしも退職後のお金の相談が必要でしたら社会保険給付金サポートを行っている退職コンシェルジュの無料相談会への参加をおすすめします。
