はっきり言って「月途中の区分変更」が嫌いです。なぜか、アセスメントからモニタリングまでのリズムがくずれてさまざまなミスを誘発するからだと思います。区分変更の流れがわかり担当ケアマネが安心して区分変更できるように記事を書いています。区分変更で請求ミスをおこしにくくなるので読んでください。
区分変更とは
介護保険の申請は新規申請・更新申請・区分変更申請の3つがあります。区分変更とは区分変更申請のことです。利用者さんの状態が急に悪く(良く)なり要介護度が変わると思われるときに区分変更申請を行います。更新の時期まで待てないときです。
状態が変わったときにケアマネが注意すること
「急に動けなくなった。」「何か様子がおかしくて世話が大変。」そのようなご家族の言葉を聞いたときに考えましょう。「ひょっとしたら病気かも。」と。まずは病院受診を勧めます。実際に受診してもらい脳梗塞が起こっていたり、重大な病気が発見されたりしています。区分変更してサービスを増やす前になぜ状態が悪化したのかを考えることが大事です。
区分変更を行う時期
保険者いわく、利用者さんの状態が変わった時点で区分変更を行うように指導がありました。たとえば担当利用者さん(要支援2)が独歩で歩行できてたのに転倒して車いすが必要になったときなどです。車いすが必要となれば要介護2くらいでしょうか。利用者さんとご家族に区分変更がありますと説明します。
変更申請の理由は
区分変更申請の理由欄には利用者さんの状態の変化だけを記入します。よく失敗するパターンが「歩行状態が悪いので車いすを借りたい。」と記入すると保険者から「車いすやショートステイなど介護サービスを利用したいからと書かないように。」といわれます。
月途中に区分変更をしたくない
区分支給限度基準額をオーバーしない場合などは月末まで待って区分変更をかけるときもあります。本当に状態が悪化したのか見極めるためでもあります。一時的に体調が悪いだけの時もあるので、様子観察の時間は大切です。月途中で急に利用者さんの状態が変わることはよくあることですね。
月途中での区分変更はなるべく避ける
月初めから新しい介護度で行う場合は更新時と同様になりますが、月途中で区分変更すると面倒なことが多くなります。状態が変わった時が区分変更すべき時と役所から言われますが、居宅ケアマネの立場から考えると月初めに区分変更した方がいいです。なぜかというと区分変更日からの暫定プラン、担当者会議、認定後のプランで介護度にあった援助を行い、やっと認定がおりればプラン作成、担当者会議、実績は月遅れなどで算定します。そこで「あれ、介護で算定するのか支援で算定するのか、介護度は?」と悩みます。要支援から介護になった場合、契約書や居宅届が必要です。
1日付けの区分変更
たとえば7月1日や12月1日など「1日」に申請すると月途中ではなくなります。「1日」が休日の場合は申請できないので保険者に確認します。「1日付けで区分変更申請したいが2日に持参していいか?」と聞き回答した職員の名前を控えます。「聞いてない。」といわれないためです。
月途中に区分変更する場合とは
月途中の区分変更が嫌でも申請しなければならないときはあります。状態悪化でショートステイ利用しか方法がないが、区分支給限度基準額をオーバーする場合などです。
区分変更は暫定プランが必要
区分変更を行うときに忘れてはいけないのが、暫定プランを作成することです。プランがなければ介護サービスの利用はできません。状態が変わってベッドや車いすが必要になりました。常に車いすやベッドが必要です。担当ケアマネは要介護2以上の暫定介護度と予想しました。区分変更でサービス追加しているのにプランがないなんて危険ですね。区分変更を行ったときのケアマネの動きを確認しましょう。
区分変更が決まってからの流れ
- 区分変更申請を行った
- 暫定プランを作成
- 担当者会議の実施、会議録の作成
- 区分変更の認定
- 区分変更の認定がおりる
- 本プランの作成
- 担当者会議の実施、会議録の作成
暫定プランの注意点
忘れやすいのは、予防→介護、介護→予防になることでそれぞれの契約を行うこと、居宅の届を忘れないことです。忙しいときに忘れやすいのが『居宅サービス計画の作成依頼の届』と介護ソフトの居宅変更です。ケアマネとしてけっこう大きな失敗になるのが『居宅サービス計画の作成依頼の届』の出し忘れです。毎月、ちゃんと届を出しているかの確認をしています。
月途中の区分変更にはルールがある
月途中の区分変更ですが、請求業務に影響があります。要介護から要支援の場合は予防支援の委託を行っていない居宅介護支援事業所の場合、その利用者さんの担当ケアマネが変わることになります。どこの事業所が給付管理を行い、サービス計画費はどうなるのか悩むところです。下の表は介護度が重くなった場合と軽くなった場合で作成しました。
予防給付と総合事業のおさらい
上記表で請求明細書に予防給付と総合事業があります。要支援の場合は総合事業(通所型サービス・訪問型サービス)と予防給付(予防福祉用具・予防通所リハ・訪問看護など)に分かれます。予防の計画書の項目に『介護保険サービスまたは地域支援事業』とありますね。
月途中に区分変更を行ったときの表・重くなる場合
「区分変更を行い介護度が重くなる場合」とは、利用者さんの状態が悪化したときです。
介護度が重くなる場合 | |||||
区変内容 | 給付管理 | サービス計画費 | 請求明細書 | 請求明細書 | 請求明細書 |
介護給付 | 予防給付 | 総合事業 | |||
事業対象者→要支援2 | 要支援2 | 要支援2 | 要支援2 | 要支援2 | |
事業対象者→要介護 | 要介護 | 要介護 | 要介護 | 事業対象者 | |
要支援1→事業対象者 | 変更なし | ||||
要支援1→要支援2 | 要支援2 | 要支援2 | 要支援2 | 要支援2 | |
要支援1→要介護 | 要介護 | 要介護 | 要介護 | 要介護 | 要支援1 |
要支援2→要介護 | 要介護 | 要介護 | 要介護 | 要介護 | 要支援2 |
月途中に区分変更を行ったときの表・軽くなる場合
居宅ケアマネをやっていて介護度が軽くなるケースは今までなかったですね。可能性として身体の状態がよくなり要介護度で料金が変わるデイサービスやデイケアを利用していた場合に料金を安くするためにすることはありそうです。
介護度が軽くなる場合 | |||||
区変内容 | 給付管理 | サービス計画費 | 請求明細書 | 請求明細書 | 請求明細書 |
介護給付 | 予防給付 | 総合事業 | |||
事業対象者→要支援1 | 事業対象者 | 要支援1 | 要支援1 | 要支援1 | |
要支援2→事業対象者 | 変更なし | ||||
要支援2→要支援1 | 要支援2 | 要支援1 | 要支援1 | 要支援1 | |
要介護→事業対象者 | 変更なし | ||||
要介護→要支援1 | 要介護 | 要支援1 | 要支援1 | 要支援1 | 要支援1 |
要介護→要支援2 | 要介護 | 要支援2 | 要支援2 | 要支援2 | 要支援2 |
月額包括報酬のサービス
月額包括報酬の場合、月途中で区分変更になると日割計算が発生します。詳しくは下の記事を読んでください。
給付管理票・請求明細書の作成
月途中で区分変更になった場合、ケアマネジャーが作成した給付管理票・請求明細書がサービス事業者の作成した明細書の内容と同じでなくてはいけません。
月途中の給付管理
月途中の区分支給限度額とは変更があった月において、重い介護度の区分支給限度基準額で行います。介護度の重い順で注意したいのは要支援1より事業対象者が重いことです。区分変更になった月の月末に支援を行っていた支援事業所が給付管理を行います。
例:要支援2の方の区分変更を9月15日に行い、要介護の1の認定がおりた場合は9月30日に担当していた居宅介護支援事業所がサービス計画費の請求を行います。予防支援の委託を受け、介護でも予防でも受けることができればいいのですが、委託を受けていないと介護・予防で事業所が変わります。
区分変更後にサービスの利用がない
利用者さんの状態が変わり、せっかく区分変更を行ったのにサービスの利用がない場合は、サービスの利用があった区分変更前の事業所が給付管理を行います。サービスの利用がないとはサービスの実績がないということです。
月途中の区分変更注意点
区分変更を行った前と後でそれぞれの介護度で単位の計算をします。重い介護度の区分支給限度基準額でその月の限度額を管理となります。要介護1の利用者さんが状態悪化して月途中からショートステイ入所後に区分変更で要介護3になりました。要介護1と要介護3では要介護3が重いので、区分支給限度基準額は要介護3の基準額になるので限度額オーバーになりません。
要支援から要介護になった場合の請求
上記の表を参考にしていただき、分かりやすく例をあげて説明します。
例:要支援1で通所型サービスと福祉用具を利用、月途中で要介護1になり通所介護と福祉用具を利用した場合。
- 要支援1の部分・・・通所型サービスの費用 要支援の日数×日割りの単位
- 要介護1の部分・・・通所介護の利用回数×通常の単位
- 福祉用具貸与・・・月末時点の要介護として算定
- 要支援の時に行ったサービスは介護予防サービス明細書
- 要介護の時に行ったサービスは介護給付費明細書
- 以上のの2枚を提出します。明細書に記入する要介護状態区分は、2枚とも月末時点となります。
- 総合事業(訪問型サービス・通所型サービス)、予防通所リハは月額なので日割り計算になりますね。他にも定期巡回随時対応型訪問介護看護と夜間対応型訪問介護、小規模多機能型居宅介護も日割り計算になります。詳しくは各保険者に確認が必要です。
まとめ
- 区分変更とは利用者さんの状態が変わり更新時期まで待てないときに行います。介護サービスをたくさん利用するために申請してはいけません。状態悪化はまず受診していただきましょう。
- 月途中の区分変更は間違いを起こしやすいので、なるべく避けます。月途中にしないためには「1日付け」で区分変更します。「1日」が休日の場合は保険者に前もって相談して「2日」に提出します。
- 区分変更は暫定プランが必要です。プランが発生するからにはアセスメント一連の作業を行います。暫定プランで要支援から要介護に変わる場合に居宅届を忘れないようにしましょう。
- 区分変更の請求作業のルールーを覚えましょう。予防給付と総合事業の違いがわかりますか?月途中の区分変更は介護度が重くなった時と軽くなった時の違いを理解しましょう。
- 給付管理票と請求明細書の作成をルールに従って行います。
- 月途中の区分変更には注意点があります。要支援から要介護になった場合の請求を見てみましょう。