利用者さんの希望で隣の市の地域密着型サービスを使いたいのですが
使えるのか心配です。
地域密着型サービスとは
地域密着サービスとはどんなサービスでしょう。これから増えていくであろう認知症の要介護者が住み慣れた地域で暮らしを継続していくために創設されたサービスです。指定の権限が市町村にあるサービスです。地域密着型サービスは市町村の実情に沿って指定された事業所が行うサービスで、地域によってはサービスがないこともあります。そして、基本的にはその市町村の方が利用するサービスで、「地域密着型」ということになります。
隣接する市町村の地域密着型サービスを利用するときや引越ししたとき地域密着型サービスを利用したいときには注意が必要です。
地域密着型サービスの種類
地域密着型サービスは年々増えていき、地域によってはなじみのないサービスであるかもしれませんが、覚えておきましょうね。
自宅で受ける地域密着型サービス
- 夜間対応型訪問介護
- 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
- 看護小規模多機能型居宅介護(旧複合型サービス)
自宅から通って利用するサービス
- 地域密着型通所介護(小規模デイサービス)、療養通所介護(医療型デイサービス)
- 認知症対応型通所介護
- 小規模多機能型居宅介護
生活の場を自宅から移して受けるサービス
- 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
- 地域密着型特定施設入居者生活介護
- 認知症対応型共同生活介護(認知症グループホーム)
地域密着型サービスを使うときケアマネが気を付けること
同じ市町村で利用しているうちは何も問題がない地域密着型サービスサービスですが、利用者さんの家が市町村の境界近くにあって隣の市の地域密着型サービスを使いたい場合はケアマネの注意すべき点があります。使えないはずのサービスを利用すると請求ができなくなってしまうのです。
隣接する市町村の地域密着型サービスを使うとき
通常の場合、A市に住所のある利用者がA市の指定を受けた地域密着型サービスを利用します。ところがA市に利用者が必要としているサービスがないとき、隣接しているB市には地域密着型サービスがあった場合、A市とB市で協議をして認められるとB市のサービスを受けられることになります。
まずは市町村に相談
A市に地域密着型通所介護がなく隣接するB市にはあり、利用者さんの利用希望がある場合です。A市とB市で協議が必要になることから前もって市町村に相談することが必要です。A市に利用しようとしているサービスが存在するのにB市のサービスを利用したいと考えても認められないこともあります。
地域密着型サービスの指定
また、B市の地域密着型サービスの事業者はA市に地域密着型サービス事業所の指定をしてもらう手続きがあります。市から利用できると了承された場合、隣接する市の地域密着型通所介護事業所からA市に指定をしてもらいます。
地域密着型サービスと住所地特例
住所地特例とは住所地特例施設に入所して住所が他市町村になっても前の市町村の被保険者となる制度です。施設がある市町村の財政負担が重くなることを防ぐ制度です。住所地特例の対象施設の見直しも度々行われています。その地域密着型サービスが住所地特例施設になるのかよく調べることが必要です。
住所地特例施設に入所している方が地域密着型サービスを利用することができるサービスがあります。詳しくは市町村に聞いてください。
- 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
- 夜間対応型訪問介護
- 認知症対応型通所介護
- 小規模多機能型居宅介護
- 看護小規模多機能型居宅介護
- 地域密着型通所介護
引っ越して地域密着型サービスを利用できるまでの期間
引っ越して転入し、要介護4の介護度なので地域密着型サービスの施設に入所しようとしてもすぐには入所できません。期間については市町村により期間の要件なしの市町村から3ヶ月・6ヶ月・1年と様々です。転入して地域密着型サービスの利用を考えている場合は市町村に相談して利用することが必要です。また、転入することで介護保険の部分だけでなく健康保険証なども新しくなります。手続きが多いため時間に余裕をもって準備しましょう。
地域密着サービスと居宅サービス
居宅介護支援事業所で担当できるサービスは
- 夜間対応型訪問介護
- 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
- 地域密着型通所介護(小規模デイサービス)、療養通所介護(医療型デイサービス)
- 認知症対応型通所介護
夜間対応型訪問介護と定期巡回・随時対応型訪問介護看護
夜間対応型訪問介護と定期巡回・随時対応型訪問介護看護ともに要介護の方が対象です。定期巡回・随時対応型訪問介護看護は月額料金であるのに対し、夜間対応型訪問介護は夜間に訪問した回数で料金決まります。定期巡回型は月途中の利用の場合、日割り計算が発生します。
認知症対応型通所介護
認知症対応型共同生活介護(認知症グループホーム)で行う通所介護です。居宅のケアマネが担当します。利用人数枠は小さいのですが、普通の通所介護と比べて料金が安いので、グループホームの待機で利用される方が多いですね。
居宅介護支援事業所が担当できないサービス
- 小規模多機能型居宅介護
- 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
- 地域密着型特定施設入居者生活介護
- 認知症対応型共同生活介護(認知症グループホーム)
- 看護小規模多機能型居宅介護(旧複合型サービス)
居宅介護と付いていても
小規模多機能型居宅介護のように「居宅介護」と付いている場合は「居宅」であっても居宅介護支援事業所の利用者さんが小規模多機能型居宅介護のサービスを利用する場合、居宅が変更になります。月額サービスのためお得感があります。訪問介護・通所介護・泊りまでのサービスを一体的に受けられます。
小規模多機能型居宅介護の利用
認知症の方が自宅で起床介助をしてもらい、朝食を食べてから施設に送迎して1日過ごして帰ります。日によってはご家族が不在のため施設に泊まることもできます。利用の応用が利く、自由度の高いサービスですね。
生活介護と付いているサービス
地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護、認知症対応型共同生活介護(認知症グループホーム)の3つは施設です。居宅ケアマネの手から離れます。
地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
定員29人未満の小規模な特別養護老人ホームで、入浴、排せつ、食事等の介護、機能訓練、健康管理などのサービスが提供されます。ミニ特養などとも呼ばれています。
地域密着型サービスで間違えないために
居宅ケアマネ、地域密着型サービス事業者ともに利用者さんの住所や事業所の指定の確認が必要です。
住所の確認を忘れ、地域密着型サービスを利用した場合😭
隣接する市の地域密着型特定施設入居者生活介護を希望した利用者さんがいました。ご家族は隣接する市に住んでいたため住所を異動(転出・転入を行う)を約束されたのです。その後、入居されてヤレヤレと思ったところ事業所で介護保険証をみると住所が変わってません。もう、利用しています。どうなると思いますか?住所を変更するまでの利用が請求できなくなりました。居宅ケアマネ側の支援費はもちろん施設の料金が請求できず、ご家族には確認し忘れたことを謝罪してさんざんな目にあいました。
まとめ
この地域密着サービスはなかなか難しいのを分かっていただけましたか。地域密着型サービスを住所のある市町村で利用する通常の場合は問題ないのですが、隣接する市町村でほかのサービスと同様に利用するつもりでいれば大変です。利用する前から市町村に相談しながら進めていく必要があります。
- 地域密着サービスとはその市町村で利用できるサービスです。自宅で受けるもの、通いのもの、施設に入って利用するものがあります。
- 地域密着サービスを利用するときに気を付けることは、市町村に相談することと事業所が指定を受けなければならないことです。
- 住所地特例が使えることがあります。転居後、地域密着サービスをすぐに利用できない市町村があることを忘れてはいけません。
- 地域密着サービスを利用する場合、居宅のケアマネから離れるサービスがあります。
ケアマネジャー的には新規で地域密着型サービスの施設を希望されていたので、利用を進めていたところ転入したばかりで利用要件期間を満たしていないことが分かったなどということがないようにと思いました。間違って利用してしまうと返戻どころか請求できない事態になります。