2021年 介護保険報酬改正 利用票に押印は不要になるのでしょうか?

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利用票の押印 居宅関係
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2021年 介護報酬改定 利用票に押印は不要になるのでしょうか?

毎月のモニタリングに利用者様宅を訪問した際に利用票に確認の押印をいただいています。利用票をじっと見て金額が上がったことを指摘され、説明を求められる方もいれば、利用票を新聞紙や郵便物の山にヒョイと乗せ、「ハンコでしょ」とサッと押印して返す方と様々です。この押印がなくなるということが本当にあるのかと不審に感じていました。なんと、2021年の介護報酬改定で押印がなくなるとあり、本当に押印欄がなくなったのですが、ほんとうのところはどうなのか調べてみました

令和3年度介護報酬改定の主な事項についてhttps://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000753776.pdf

酬改定の中にありました。参考までに33ページです。これは「介護人材の確保・介護現場の革新」の中の「文書負担軽減や手続きの効率化による介護現場の業務負担軽減の推進」のために考えられたことであることが分かりました。

電磁的記録とは

電磁的な対応を原則認める」とは最近よくある保険の署名などをタブレットですることですね。なかなかうまく書けませんよね。紙に書く名前のようには自分の字感はないです。この「電磁的」について更に調べました。

R3/3/16 vol.944 令和3年厚生労働省告示第 71 号 第13条https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000756265.pdf

vol.944より抜粋

① 電磁的記録について
訪問型サービス事業者、通所型サービス事業者及び介護予防ケアマネジメント事業者並びにサービスの提供に当たる者(以下において「事業者等」という。)は、書面の作成、保存等を次に掲げる電磁的記録により行うことができる。
イ 電磁的記録による作成は、事業者等の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法または磁気ディスク等をもって調製する方法によること。
ロ 電磁的記録による保存は、以下のいずれかの方法によること。
a 作成された電磁的記録を事業者等の使用に係る電子計算機に備えられたファイル又は磁気ディスク等をもって調製するファイルにより保存する方法
b 書面に記載されている事項をスキャナ等により読み取ってできた電磁的記録を事業者等の使用に係る電子計算機に備えられたファイル又は磁気ディスク等をもって調製するファイルにより保存する方法
ハ その他、介護保険法施行規則第 140 条の 63 の6第1号に規定する厚生労働大臣が定める基準(令和3年厚生労働省告示第 71 号。以下「基準告示」という。)第 13 条において電磁的記録により行うことができるとされているものに類するものは、イ及びロに準じた方法によること。
ニ また、電磁的記録により行う場合は、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守すること。

事業者等の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法

「電子計算機」コンピューターのこと。事業所のコンピューター(パソコン)に備えられたファイルに記録するということ。

磁気ディスク等をもって調製する方法

「磁気ディスク等」とはCD・DVD・FD(フロッピーディスク)・MO(光磁気ディスク)などのことです。

電磁的記録により行う場合は、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守すること

厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/000730541.pdf

抜粋

本ガイドラインは、病院、一般診療所、歯科診療所、助産所、薬局、訪問看護ステーション、介護事業者、医療情報連携ネットワーク運営事業者等(以下「医療機関等」という。)における電子的な医療情報の取扱いに係る責任者を対象とし、理解のしやすさを考慮して、現状で選択可能な技術にも具体的に言及した。したがって、本ガイドラインは技術的な記載の陳腐化を避けるために定期的に内容を見直す予定である。本ガイドラインを利用する場合は最新の版であることに十分留意されたい。
本ガイドラインは、医療情報システムの安全管理や e-文書法への適切な対応を行うため、技術的及び運用管理上の観点から所要の対策を示したものである。ただし、医療情報の適切な取扱いの観点からは、医療情報システムに関わる対策のみを実施するだけで十分な措置が講じられているとは言い難い。したがって、本ガイドラインを使用する場合、医療情報システムの担当者であっても、「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」を十分理解し、医療情報システムに関わらない部分でも医療情報の適切な取扱いのための措置が講じられていることを確認することが必要である。

以上に細かく記されています。押印に関しては、「医療情報システムを安全に管理するために(第 2.1 版)」に少し出ていました。

「医療情報システムを安全に管理するために(第 2.1 版)」https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/000730555.pdf

(1)真正性の確保について

(抜粋)発生する各種のデータに対して、「作成の責任の所在及び記録の確定方法の明確化」が必要である。その上で、技術的対策、運用的対策等を組み合わせて、責任の所在を明確化し、情報の完全性を確保する(虚偽入力、書換え、消去及び混同の防止)必要がある。
記名・押印が必要な文書については、電子署名、タイムスタンプを付すことが必要である。特に、保健医療福祉分野において国家資格を証明しなくてはならない文書等への署名は、保健医療福祉分野PKI認証局の発行する電子署名を活用することが推奨される。

上記は記名・押印が必要な場合ですが、「責任の所在」と言われると「何かあったときのために」といろいろ文書を用意したくなります。「電子署名」できる事業所はどれくらいあるでしょうか?

(2)見読性の確保について

(抜粋)「必要に応じて」とは、診療、患者への説明、監査、訴訟等に際して、それぞれの目的に支障のない応答時間やスループット、操作方法により読み取れる状態にできることである。また、情報の所在管理と見読化手段の管理も必要であり、患者ごとの全ての情報の所在が日常的に把握されていなければならない。このことは外部保存の場合も同様である。電子媒体に保存された情報はそのままでは見読できず、電子媒体から情報を取り出すに当たって何らかの処理を行う必要があるため、これらの見読化手段が日常的に正常に動作することが求められる。
以上のことから、「文書負担軽減や手続きの効率化による介護現場の業務負担軽減の推進」の「運営規程等の重要事項の掲示について、事業所の掲示だけでなく、閲覧可能な形でファイル等で備え置くこと等を可能とする。」ということは、電磁的記録がない場合のいざというときに証拠の書類が必要になると考えました。

押印についての考え方

「押印についてのQ&A(令和2年6月 19 日内閣府・法務省・経済産業省)」http://www.moj.go.jp/content/001322410.pdf

〇「経済財政運営と改革の基本方針2020(令和2年7月17日閣議決定)」及び「規制改革実施計画(令和2年7月17日閣議決定)」に基づき、各府省は、所管する行政手続等のうち、法令等又は慣行により、国民や事業者等に対して紙の書面の作成・提出等を求めているもの、押印を求めているもの、又は対面での手続を求めているものについては、規制改革推進会議が提示する基準に照らして順次、必要な検討を行い、法令、告示、通達等の改正やオンライン化を行うこととされています。

押印についてのQ&A(抜粋)

問1.契約書に押印をしなくても、法律違反にならないか。
・私法上、契約は当事者の意思の合致により、成立するものであり、書面の作成及びその書面への押印は、特段の定めがある場合を除き、必要な要件とはされていない。
・ 特段の定めがある場合を除き、契約に当たり、押印をしなくても、契約の効力に影響は生じない
問2.押印に関する民事訴訟法のルールは、どのようなものか。             裁判所は、ある人が自分の押印をした文書は、特に疑わしい事情がない限り、真正に成立したものとして、証拠に使ってよいという意味である。そのため、文書の真正が裁判上争いとなった場合でも、本人による押印があれば、証明の負担が軽減されることになる
問6.文書の成立の真正を証明する手段を確保するために、どのようなものが考えられるか。                                  ・ 次のような様々な立証手段を確保しておき、それを利用することが考えられる。
① 継続的な取引関係がある場合
取引先とのメールのメールアドレス・本文及び日時等、送受信記録の保存(請求書、納品書、検収書、領収書、確認書等は、このような方法の保存のみでも、文書の成立の真正が認められる重要な一事情になり得ると考えられる。)
② 新規に取引関係に入る場合
契約締結前段階での本人確認情報(氏名・住所等及びその根拠資料としての運転免許証など)の記録・保存本人確認情報の入手過程(郵送受付やメールでの PDF 送付)の記録・保存文書や契約の成立過程(メールや SNS 上のやり取り)の保存
③ 電子署名や電子認証サービスの活用(利用時のログイン ID・日時や認証結果などを記録・保存できるサービスを含む。)
・ 上記①、②については、文書の成立の真正が争われた場合であっても、例えば下記の方法により、その立証が更に容易になり得ると考えられる。また、こういった方法は技術進歩により更に多様化していくことが想定される。
(a) メールにより契約を締結することを事前に合意した場合の当該合意の保存
(b) PDF にパスワードを設定
(c) (b)の PDF をメールで送付する際、パスワードを携帯電話等の別経路で伝達
(d) 複数者宛のメール送信(担当者に加え、法務担当部長や取締役等の決裁権者を宛先に含める等)
(e) PDF を含む送信メール及びその送受信記録の長期保存

2022年 押印はどうなっているのか

利用票への押印

私の働いている居宅介護支援事業所の場合は保険者に確認、利用票への押印は無しになりました。モニタリングの日付を記入しています。

居宅サービス計画書の押印について

居宅サービス計画書の押印についても保険者に確認、事業所で決めるように言われました。ただ、他の保険者では居宅サービス計画書の同意の確認のため、署名または押印による確認が適切と書いてあります。合意確認に意味では署名か押印が合理的ですね。

2022年居宅サービス計画書の押印

2022年居宅サービス計画書の押印はいりません予防のサービス計画書の押印ですが、本人署名があるときは押印無し。署名欄にパソコンで印字しているときは押印必要と保険者から言われました。心配な時は保険者に確認しましょう。

契約書・重要事項説明書の押印について

居宅サービス計画書と同様の考え方でいいと思われます。契約書・重要事項説明書の中の法人印ですが、これも保険者に確認したいところです。枚方市は各法人の裁量によると記載されています。

枚方市介護支援専門員連絡協議会 2021年4月20日

2023年介護事業者と利用者との契約書の押印がなくなる

『河野太郎デジタル相は21日の閣議後記者会見で、介護サービス事業者と利用者とが契約を交わす際の書類の押印について、「省略可能」と明言した。』

利用票に押印不要でも介護保険の契約書は何回も住所や名前を記入しての押印があります。最初から住所や名前を印字して利用者と事業所に説明して契約となれば時間の省略になります。

参考:https://www.joint-kaigo.com/articles/6875/

2023年 押印のない重要事項説明書や契約書

国はデジタル化と言ってきたが実際の現場では押印を求めています。令和5年3月31日に介護保険最新情報が「福祉用具貸与等における利用手続きの円滑化の更なる推進について(通知)」vol.1140にて再度押印がいらないことを伝えてたのです。押印欄のない重要事項説明書や契約書のひな型も出ていました。特に福祉用具事業者を対象としていますが他の事業所も同様でしょう。

ICT導入というけれど

取引のある福祉用具事業所にデータで提供票を送ることができるか聞いてみました。大きな会社ならできるでしょうが、小規模の福祉用具事業所は準備できていないという回答でした。
「福祉用具貸与等における利用手続きの円滑化の更なる推進について(通知)」vol.1140

電子申請・届出システム

都道府県や市町村に提出する申請・届け出が電子申請になります。令和7年度までに全ての地
方公共団体で利用開始することになります。
介護保険法施行規則の一部を改正する省令等の公布等について(通知)

まとめ

いろいろな根拠をあげて検証してきました。以上のことから電磁的な手段の整っていない事業所は念のために保険者に確認をいただいておくことがいいと思います。「署名・押印を求めないことが可能であることや代替手段を明示する」とあることから「代替手段が明示する」のを待ちたいです。こういう「押印がいるのか」「保険者に確認しなければ」と繰り返す時間がもったいないと思っています。分かりやすい言葉で国がスパッと表してくれる日を待っています。

こんな作業に疲れた方に送りたい記事です。↓

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