介護老人保健施設に母が入所しています。リハビリのおかげでだいぶ元気になりました。自宅で生活できるのか「お試し外泊」をしたいのですが、ベッドがありません。ベッドをレンタルしたいのですが?それに介護のやり方も分からないのでヘルパーさんにどんな介護が必要なのか教えてほしい。
施設に入所中は在宅サービスは使えません。自費であれば使えますが。
お困りですね。そんな時は「外泊時在宅サービス利用費用」を使いましょう。
外泊時在宅サービス利用費用とは
介護老人保健施設及び介護老人福祉施設、地域密着型老人福祉施設入所者生活介護(以下特別養護老人ホーム等)の入所者が居宅に外泊し、特別養護老人ホーム等から居宅サービスを提供した場合に算定できる算定項目です。居宅ケアマネは関係ないのですが、外泊時在宅サービス利用費用を理解しておきましょう。
外泊時在宅サービス利用費用の算定要件
介護老人福祉施設などから居宅に泊まり、入所している施設から在宅サービスを受けることです。
施設からの外泊時とは
介護老人保健施設及び介護老人福祉施設、地域密着型老人福祉施設入所者生活介護(以下特別養護老人ホーム等)の入所者が居宅に外泊する場合はもとより、入院の場合も同様の扱いになります。
入所者が入院し、又は外泊したとき「外泊時費用」を算定しますが「外泊時在宅サービス利用費用」と混同しないようにしましょう。
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000080857.pdf#page=65
外泊時在宅サービス利用費用について 詳細
居宅のケアマネと関係がある場合は介護老人保健施設において、在宅復帰するためのお試し外泊するときです。お試しで利用する在宅サービスは、在宅復帰する場合に最低限必要なサービスとなるでしょう。施設ケアマネやリハビリスタッフと共同して住宅改修した方がいいなどアドバイスがもらえます。
外泊時在宅サービス利用費用
- 外泊時在宅サービスの提供を行うに当たっては、その病状及び身体の状況に照らし、医師、
看護・介護職員、支援相談員、介護支援専門員等により、その居宅において在宅サービス利
用を行う必要性があるかどうか検討します。 - 入所者又は家族に対し、この加算の趣旨を十分説明し、同意を得た上で実施します。
- 外泊時在宅サービスの提供に当たっては、介護老人福祉施設等の介護支援専門員が、外泊時利用サービスに係る在宅サービスの計画を作成するとともに、従業者又は指定居宅サービス事業者等との連絡調整を行い、その利用者が可能な限りその居宅において、その有する能力に応じ、自立した日常生活を営むことができるように配慮した計画を作成します。
- 家族等に対し次の指導を事前に行うことが望ましいです。
イ、食事、入浴、健康管理等在宅療養に関する指導(食事の形態や安全に入浴する方法など)
ロ、当該入所者の運動機能及び日常生活動作能力の維持及び向上を目的として行う体位変換、起座又は離床訓練、起立訓練、食事訓練、排泄訓練の指導(自宅で寝かせきりになってしまわないように訓練を行う)
ハ、家屋の改善の指導(転倒しやすい場合に手すりを置くなど)
ニ、入所者の介助方法の指導(入所者も家族も安全に入浴できるように) - 外泊時在宅サービス利用の費用の算定期間中は、施設の従業者又は指定居宅サービス事業者等により、計画に基づく適切な居宅サービスを提供することとし、居宅サービスの提供を行わない場合はこの加算は対象となりません。
- 加算の算定期間は、1月につき6日以内とする。また、初日と最終日は基本報酬を算定します。
- 利用者の外泊期間中は、利用者の同意があれば、そのベッドを短期入所生活介護に活用することは可能ですが、この場合は外泊時在宅サービス利用の費用を併せて算定することはできません。
外泊時在宅サービス利用の費用の留意事項https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000202748.pdf#page=31
外泊時在宅サービス利用費用の算定できる単位
サービスの種類 | 単位 |
介護老人福祉施設 | 560/日 |
介護老人保健施設 | 800/日 |
地域密着型老人福祉施設入所者生活介護 | 560/日 |
ところで外泊時に居宅サービスは使えない根拠
外泊時に居宅ケアマネが計画してベッドなり、訪問介護などを使えない根拠を探しました。
15.5.30 事務連絡 介護報酬に係る Q&A
施設入所(入院)者が外泊した場合の居宅サービスの算定について
15.5.30 事務連絡 介護報酬に係る Q&A
介護保健施設及び医療機関の入所(入院)者が外泊時に利用した居宅サービスについては、外
泊時費用の算定の有無にかかわらず、介護保険において算定できない。
外泊時在宅サービス利用の費用(施設サービス)Q&A
平成30年度介護報酬改定に関するQ&A
問 94 介護老人福祉施設が提供する在宅サービスとはどのようなものか。
(答)
介護老人福祉施設が他のサービス事業所に委託して行う場合や、併設事業所がサービス提供を行う場合等が考えられる。問 95 連続する外泊で、サービスを提供していない日と提供した日がある場合はどのような算定となるか。
介護保険最新情報vol.629
(答)
各日において外泊時の費用又は外泊時在宅サービス利用の費用が算定可能であるが、それぞれの算定上限に従う。
「平成30年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)(平成30 年3月23 日)」の送付についてhttps://www.wam.go.jp/gyoseiShiryou-files/documents/2018/0326123437853/ksVol629.pdf#page=58
まとめ
外泊時在宅サービス利用の費用とは自宅で外泊する方のための費用で、施設に入所中の方が居宅サービスを使えず安全に生活することができない場合に使います。自宅に帰るために本当に在宅サービスが必要か他職種の施設職員が検討します。介護老人保健施設の介護支援専門員が「外泊時利用サービスに係る在宅サービスの計画」を作成、併設施設の職員が在宅でサービスを行ったり、指定居宅サービス事業者などの連絡調整を行います。また、ご家族が困らないよう、事前に食事・入浴・身体能力・介助の方法・自宅家屋の改善を指導しておくことも重要です。
いきなりの退所する前に安全に「お試し外泊」することで、自宅に帰ったときの生活のイメージがつきやすいと思います。そして居宅ケアマネは外泊時の情報を施設ケアマネから受けたり、外泊時にあわせて自宅訪問をして自宅に戻られるときの参考にします。