無資格で働く皆さん、まず安心してください。資格がないから介護業界から追い出されることはありません。まわりをよく見てみましょう。あなたの職場で資格のない方は何人いますか?資格のない人が辞めてしまうとシフトが組めませんよね。人手不足の介護業界を上手く渡り歩きましょう。ケアマネが考える無資格の方の資格の取り方を書いています。また、無資格介護職の研修義務化について説明します。
介護職の無資格介護とは
そもそも介護職の無資格とは何を指すのでしょうか。介護の資格には様々ありますが、ケアマネジャーや理学療法士、作業療法士は資格がなければその仕事を行うことができません。介護施設で利用者さんの日常生活のお世話をする場面で無資格の方も活躍しています。介護福祉士・実務者研修・初任者研修(旧ホームヘルパー2級)が混在して介護にあたっています。それらのどの資格も無く介護職として働いている方が『無資格』となります。
無資格介護職と有資格介護職の違い
資格のあるなしで仕事内容に違いはあるのでしょうか。訪問介護では資格がないとできないことになっていますが、新型コロナウイルスの影響で人員が足りないときは無資格の方でも生活援助に限り行うことができます。身体介護は資格がないとできないということです。ケアマネから見ると大変もったいないことをしています。
無資格介護求人
そうは言っても無資格・未経験でも正社員の求人があります。本当に人手不足なのです。無資格・未経験の方を採用して働きながら資格を取ってもらい身体介護や夜勤ができるように育ててくれる会社もあります。
無資格介護者の給料
無資格でも正社員であれば給料も賞与もあります。経済的に困っていても介護職として働くことができれば安泰ですね。これで資格が付けばさらに資格手当が付く場合もあります。無資格者も有資格者も制服を着てしまえば見分けがつかず同じ仕事ができると思われます。
介護職研修義務化
令和3年度介護報酬改定では介護現場で認知症の基礎知識を高めるため、介護に直接かかわる職員に認知症介護基礎研修を受講するための措置を義務づけました。(※3年の経過措置期間を設ける)この研修は認知症高齢者が増加することを踏まえ質の高いケアを行う人材が増えることを目指しています。
2024年度 認知症介護基礎研修の内容
2024年度無資格の介護職員に義務付けられる認知症介護基礎研修は、トータル6時間のeラーニングで受ける研修です。認知症介護基礎研修を受けることで仕事を続けられますよ。
認知症介護基礎研修を受けなくていい人
認知症について学校や研修で学んできた人は研修を受けなくてもいいことになっています。
例として看護師、准看護師、介護福祉士、介護支援専門員、実務者研修修了者、介護職員初任者研修修了者、生活援助従事者研修修了者、介護職員基礎研修課程修了者、訪問介護員養成研修一級課程・二級課程、社会福祉士、医師、歯科医師、薬剤師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、精神保健福祉士、管理栄養士、栄養士、あん摩マッサージ師、はり師、きゅう師等です。
研修の料金や時間
研修費用:3000円自治体によって金額が変わります。都道府県に確認しましょう。
研修時間:150分程度。
認知症介護基礎研修 Q&A
Q.問3 養成施設及び福祉系高校で認知症に係る科目を受講したが介護福祉士資格は有していない者は、義務づけの対象外とすることが可能か。
A.養成施設については卒業証明書及び履修科目証明書により、事業所及び自治体が認知症に係る科目を受講していることが確認できることを条件として対象外とする。なお、福祉系高校の卒業者についは、認知症に係る教育内容が必修となっているため、卒業証明書により単に卒業が証明できれば対象外として差し支えない。
Q.問4 認知症介護実践者研修の修了者については、義務づけの対象外とすることが可能か。
A.認知症介護実践者研修、認知症介護実践リーダー研修、認知症介護指導者研修等の認知症の介護等に係る研修を修了した者については、義務づけの対象外として差し支えない。
Q.問5 認知症サポーター等養成講座の修了者については、義務づけの対象外とすることが可能か。
A.認知症サポーター等養成講座は、認知症について正しく理解し、認知症の人や家族を温かく見守り、支援する応援者を養成するものであるが、一方で、認知症介護基礎研修は認知症介護に携わる者が認知症の人や家族の視点を重視しながら、本人主体の介護を実施する上での、基礎的な知識・技術及び理念を身につけるための研修であり、その目的・内容が異なるため、認知症サポーター等養成講座修了者は、義務付けの対象外とはならない。
Q.人員配置基準上、従業者の員数として算定される従業者以外の者や、直接介護に携わる可能性がない者についても、義務付けの対象となるのか。
A.人員配置基準上、従業者の員数として算定される従業者以外の者や、直接介護に携わる可能性がない者については、義務付けの対象外である。一方で、義務付けの趣旨を踏まえ、認知症介護に携わる者が認知症の人や家族の視点を重視しながら、本人主体の介護を実施するためには、人員配置基準上、従業者の員数として算定される従業者以外の者や、直接介護に携わらない者であっても、当該研修を受講することを妨げるものではなく、各施設において積極的に判断いただきたい。
参考:「令和3年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.3)(令和3年3月 26 日)」
無資格者の未来
今後の無資格介護士ですが、介護助手という形になり専門的な身体介護を介護福祉士などの有資格者が行うことになるでしょう。介護助手は掃除や物品準備をして業務内容を分業することで仕事の効率を上げていくようになります。分業が進むと給与の面でも無資格者と有資格者の差が開くと予想されます。
無資格介護士が資格を取る
これから介護士として何年働きますか。3年以上働く場合は資格の取得を考えてみましょう。無資格介護士はできない仕事もあります。夜勤でオムツ交換などの身体介護をするには資格が必要です。介護職員基礎研修を受けることで最終的に介護福祉士までの道が開けます。資格でステップアップしていることが誰の目にもわかることが魅力です。
働きながら資格を取る
仕事が忙しくて研修なんか受けられないと思ってませんか。介護事業所としても無資格者よりは資格のある人にバリバリ働いてもらいたいと考えています。働いている事業所に相談しましょう。働きながら資格をとれるように配慮してもらえます。もし、資格無くていいからと言われた場合は転職した方がいいです。
どんな資格を取ればいいか
福祉系の学校を卒業していない場合2つの資格が考えられます。
- 実務経験3年以上+実務者研修(EPA介護福祉士候補者以外)
- 実務経験3年以上+介護職員基礎研修+喀痰吸引等研修
参考:介護福祉士国家試験資格
自分にあった資格を取ろう
資格を取る場合、お金と時間が心配ですね。研修費用の補助を会社がしてくれるといいのですが、確認してみましょう。
実務者研修
実務者研修は『介護福祉士実務者研修』が正式な名称です。保有資格によって金額は変わります。無資格ですと143,000円~176,000円かかります。自宅学習+通学で1ヶ月~6か月(個人差があります。)
介護職員基礎研修+喀痰吸引等研修
介護職員基礎研修は現在廃止されているので、こちらのルートは無資格の方には使えません。
介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)
介護職員初任者研修は旧ホームヘルパー2級です。介護の入り口の資格となります。前出の介護福祉士実務者研修に「保有資格により金額が変わります。」とあった保有資格になります。受講金額は80,000円~87,000円くらいです。学習期間は自宅学習+通学で1~4か月かかります。介護福祉士の受験資格は介護職員初任者研修⇒介護福祉士実務者研修です。
教育訓練給付制度を使いましょう
雇用保険の加入者で条件に合えば「教育訓練給付制度」が使えます。厚生労働大臣の指定する教育講座を受講し、修了した場合、受講料の20%が修了後にハローワークから給付されます。
参考:教育訓練給付制度
まとめ
- 介護職の無資格介護とは介護福祉士実務者研修や介護職員初任者研修、介護福祉士の資格なしに介護職員として働いている人です。無資格者は身体介護ができないことになっています。しかし、介護職は慢性的な人材不足ですね。無資格でもいいから働いてほしい介護施設が多いです。
- 2024年4月から無資格の介護職員に認知症介護基礎研修を受ける義務が出てきました。受講料は3,000円ですが、地域によって金額が違い場所もあるので確認しましょう。
- 3年以上介護職を続けるのであれば資格を取っておきましょう。身体介護ができるようになります。働きながら資格は取れます。資格は実務者研修と介護職員初任者研修です。受講料は教育訓練給付制度を利用してみましょう。
- ケアマネでさまざまな事業所を訪問すると無資格の方が働いています。将来のことを考えると資格を取ればいいのになと思うことが多いです。